君の冷たい手と
「本当か?俺のせいではないんだな?」
私がこっくりと頷くと、安心したような、考え込んだような顔をした。そして少し沈黙があった後、
「……じゃ、教室に帰るか」
私のせいで作業が一時中断してしまったのだ。
「うん、そうしよ」
努めて明るい声を出した。よっこらしょっと、立ち上がろうとすると両膝に鋭い痛みが走る。
うっ、痛ー。そういや、こけたこと忘れてたな。ま、歩けないこともないし何も言わないでおこう…と思った矢先、
「あれ、五十嵐さん怪我してるじゃん」
うげ、早くもバレました。
「あー、そうだね。」
とりあえず素っ気なく返事。
「保健室行こうぜ……って今日は先生休みだったか」
「そうそう、だから早く教室行こ」
たかが転んだごときで大袈裟にしたくないし。
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