君の冷たい手と
ただぼんやりと過ごす毎日。今日もまた、つまらない毎日が始まるのだ。
今さら、友達なんて出来るわけないよな。入学式のとき、周りの人に話しかける勇気があれば良かったのに。あーあ、もっと高校生活を楽しみたかった…。
まだ終わってもいない高校生活に失望さえも抱き始めていた。

キーンコーンカーンコーン…

ようやく下校の時刻を知らせるチャイムが鳴る。
あぁ、やっと帰れる。1日長かったな……なんて思っていると、
「おーい委員長!この資料をホッチキスで止めてくれないか?」
担任の浅野先生に呼び止められた。

げっ、またですか……。思わずそうこぼしそうになる。
姫響は内申のことを考えて、一応委員長になったが、仕事の多さに気が滅入っていた。帰宅部だからそれほど困ることはないけど。
早く家に帰りたいのに…、という気持ちは顔に出さずに、
「全然良いですよ」
と完璧な作り笑顔で答えてみせた。

「助かるよ、五十嵐さんいつもすまないね。おい、松本虎!お前も委員長だろ。サボるな!」
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