君の冷たい手と
虎は帰りかけた足を止めて、
「えー?俺は五十嵐さんと違って部活があるんだよ!」
とあからさまに嫌な顔をしてみせた。
「そんなの関係無い。今までさんざん仕事をサボってきたんだからな」
先生の強い口調に、虎はしぶしぶ手伝い始めた。

せっせと資料の束を作り上げていく虎を見て先生は、
「俺はいろいろ忙しいから、よろしく頼む。出来たら職員室に持ってきてくれ」
そう言い残し、ドアをガラガラと引いて教室から出て行ってしまった。

え、ちょっと先生なんでよ。置いていかないで。教室で2人っきりとか少女漫画じゃないんだからさ…。
姫響は、ちらりと松本君の方を見てみる。彼はそんなこと気にしていないようで、さっさと終わらせてやる、なんてぼやきながら次々にホッチキスでパチンパチンと止めていく。

あー、そういえば委員長同士なのに松本くんと話したことないかも。
彼は私と違って友達が多い。委員長になったのも、クラスの友達に推薦されて『んじゃ、俺がやっちゃいます!』ってノリで引き受けていた。
だからこそ、今まで仕事していなかったのだけど。
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