君の冷たい手と
反射的に自分の鞄を取り、全速力で教室を後にした。
「ちょ、待てよっ!」
後ろから松本君の声がしたけど、走るスピードを緩めることはなかった。すると、姫響は見事にこけてしまった。
「あ、痛っー…」
両足にうっすらと血がにじみ出す。何やってるんだろ、私…。
大粒の雫が、次々と頬を伝っていく。一人ぼっちの廊下に、姫響の鳴咽だけが響く。その涙が、先ほどのフラッシュバックのものなのか、傷の痛みのものなのかはわからない。
だけど、すごく孤独を感じた…。
しばらく廊下に座り込み、ようやく気持ちが落ち着いてきた頃、突然パタパタと足音が聞こえだした。足音はどんどん大きくなってくる。嫌な予感がして振り向いたら、案の定そこには、松本君が居た。
「五十嵐さん、以外と足速いな」
明るい口調とは裏腹に、彼はとても思い詰めたような顔をしていた。
あ、泣いてたのばれたか…。瞼が赤く腫れてるだろうし。
「……いろいろ、ごめん」
彼はすまなそうに謝ってきた。
「もう、いいよ…。私が泣いたのだって、あんまり松本君は関係ないし」
その言葉に嘘はなかった。彼の言葉に過去の嫌な記憶が蘇ったのは事実。だけど、その過去を忘れることの出来ない私が、一番悪いと思ったから。
「ちょ、待てよっ!」
後ろから松本君の声がしたけど、走るスピードを緩めることはなかった。すると、姫響は見事にこけてしまった。
「あ、痛っー…」
両足にうっすらと血がにじみ出す。何やってるんだろ、私…。
大粒の雫が、次々と頬を伝っていく。一人ぼっちの廊下に、姫響の鳴咽だけが響く。その涙が、先ほどのフラッシュバックのものなのか、傷の痛みのものなのかはわからない。
だけど、すごく孤独を感じた…。
しばらく廊下に座り込み、ようやく気持ちが落ち着いてきた頃、突然パタパタと足音が聞こえだした。足音はどんどん大きくなってくる。嫌な予感がして振り向いたら、案の定そこには、松本君が居た。
「五十嵐さん、以外と足速いな」
明るい口調とは裏腹に、彼はとても思い詰めたような顔をしていた。
あ、泣いてたのばれたか…。瞼が赤く腫れてるだろうし。
「……いろいろ、ごめん」
彼はすまなそうに謝ってきた。
「もう、いいよ…。私が泣いたのだって、あんまり松本君は関係ないし」
その言葉に嘘はなかった。彼の言葉に過去の嫌な記憶が蘇ったのは事実。だけど、その過去を忘れることの出来ない私が、一番悪いと思ったから。