それが、あなたの
1st
小さな、小さな
ちょうど、今は春と夏の境目で。
制服は、まだ冬服のまま。
「暑……」
あたし、伊野たまきは、クーラーのきかない美術部の部室で、机に顔を伏せていた。
少しひんやりする机は、なんだかすごく気持ちが良い。
「たまき、起きて。」
ふと、ひんやりしたハンカチが、頬に触れた。
「うひゃっ!」
あたしは慌てて起き上がり、目の前の人物に視線を向けた。
「し、しーちゃん!おはよう!」
「おはようじゃないよ!早く初める!」
彼女は、早川 栞。
彼女とは、高校に入学してから仲良くなった。