Summer again with
その寂しさから、おじいちゃんは三年前から毎年夏に、私達家族を家へ呼ぶようになった。
そこで偶然出会ったのが、高校二年生だったナツなんだ。
ナツは、青ざめた私の顔を見て、「仕方ないだろ」と言う。
「し…仕方ないって…」
「ここの海の家もなくなるし、俺もやりたいことあるからさ」
な?と言って、笑う。
染めた茶髪は、ナツの整った顔によく似合っていて、かっこいい。
そんな彼に恋をしている私、東野未海(とうの みみ)。
三年前の夏の、あの日から。
この三年間、ナツだけだったのに。
近くから、蝉が鳴く声がする。
毎年、変わらない鳴き声で。
「ごめんなぁ、未海ちゃん。おじさんもそろそろ年だからなぁ」
この海の家を経営している、よく日に焼けた男の人、哲さん。
四十代らしいんだけど、この間腰を痛めたらしい。
…それで、この海の家は今年までにしちゃうんだって。
「…哲さぁん………」
哲さんは、私がナツのことを好きだって知っている。
毎年夏、この海の家でほとんどの時間を過ごす私の恋を、哲さんは応援してくれていた。
「…哲さんは悪くないよ……」
仕方ないこと。
わかっているけど……
もう来年には、ナツに会えないなんて。
信じられない。信じたくない。