Summer again with
瞳に涙をじわじわと溜める私を見て、ナツは「かき氷溶けるぞ」と言う。
夏特有のこの蒸し暑ささえも、今の私には気にならない。
…だって、さぁ。
「会えないとか……寂しすぎるよ」
容赦無い夏の温度に、いちごのシロップをかけた氷が、溶けていく。
来年の夏、またここに来たとき、私はなにをすればいいんだろう。
あと数日の夏休みが過ぎたら、誰を思って過ごせばいいんだろう。
ナツは、唇を噛んで泣くのをこらえる私を見て、「未海」と呼んだ。
ナツも、知ってる。
私がナツのこと、大好きなこと。
けど、彼は静かに落ち着いた声で、言ったんだ。
この、夏の日に。
「…未海ももう高校生なんだし、彼氏とかつくったら。来年の夏は、彼氏と過ごしな」
…なに、それ。
私は、目を見開いてナツを見上げた。
「なんで、そんなこと言うの…?」
震えた私の声に、ナツは一瞬辛そうに目をそらしたあと「そのままの意味だよ」と言った。
「未海もせっかく女子高生なんだし、同級生と恋愛したほうがいい」
…今更、年上面するの?
そのとき、若いお客さんに呼ばれて、ナツはそっちに向かって行った。
私は、体をわなわなと震わせて、カタ、とテーブルから立ち上がった。
肩くらいまでの、私のボブが揺れる。