Summer again with


砂浜に足を取られながら、海岸を出る。


夏の暑さが容赦無くて、道路を走り始めると、すぐに汗がふき出てきた。

コンクリートの道路が、熱を吸収して熱い。

頭上で影を落とす青々と茂った木々が、さわさわと風に揺れる。


…悔しい。

馬鹿、馬鹿!

ナツの、馬鹿!!


言ったじゃん。二年前の夏。


『未海が十七になったら、考えてやるよ』って。


私、十七になったよ。

なのに、なのに…!


木々に囲まれたおじいちゃんちに着いて、私は玄関でサンダルを脱いだ。


「…おや、未海?どうしたんだい」


両親と弟は今、近くのスーパーに買い物に行ってる。

リビングで待つおじいちゃんは、見ていたテレビから目を離して、突然帰ってきた孫を不思議そうに見た。


「那津くんのとこに、行ってたんじゃないのかい」


おじいちゃんは、ナツのことを知ってる。

ナツが高校生だったときから、時折おじいちゃんの話し相手になったりしてたんだって。


「…知らない…ナツなんか、知らない…」


唇を噛んで呟いた私に、おじいちゃんは「なにがあったか知らんがの」と心配そうな目をした。



「未海たちがおじいちゃんちにいてくれるのも、あと三日じゃろ。大切にせんと」

…そうだ。

今年私がここに来て、もう二週間が経つ。


< 5 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop