Summer again with
砂浜に足を取られながら、海岸を出る。
夏の暑さが容赦無くて、道路を走り始めると、すぐに汗がふき出てきた。
コンクリートの道路が、熱を吸収して熱い。
頭上で影を落とす青々と茂った木々が、さわさわと風に揺れる。
…悔しい。
馬鹿、馬鹿!
ナツの、馬鹿!!
言ったじゃん。二年前の夏。
『未海が十七になったら、考えてやるよ』って。
私、十七になったよ。
なのに、なのに…!
木々に囲まれたおじいちゃんちに着いて、私は玄関でサンダルを脱いだ。
「…おや、未海?どうしたんだい」
両親と弟は今、近くのスーパーに買い物に行ってる。
リビングで待つおじいちゃんは、見ていたテレビから目を離して、突然帰ってきた孫を不思議そうに見た。
「那津くんのとこに、行ってたんじゃないのかい」
おじいちゃんは、ナツのことを知ってる。
ナツが高校生だったときから、時折おじいちゃんの話し相手になったりしてたんだって。
「…知らない…ナツなんか、知らない…」
唇を噛んで呟いた私に、おじいちゃんは「なにがあったか知らんがの」と心配そうな目をした。
「未海たちがおじいちゃんちにいてくれるのも、あと三日じゃろ。大切にせんと」
…そうだ。
今年私がここに来て、もう二週間が経つ。