悪魔の彼
そろそろと音も立てずに入ってきたのは
天使ではなかった。
じゃあ妖精か悪魔かと言われても困る。
なにしろ羽がないのだから……
彼女の持つバスケットには、白く背中に二つ穴のあいたドレスが入っていた。
「フロウ様があなた様へと……」
「あ、ありがとうございます」
正直、着るのは嫌だったが今はこれしかないから仕方がない。
私はメイドが後ろを向いている間に、ささっと着替えてしまう。
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