悪魔の彼




その日は少し冷たい風が水面を揺らし、静寂が森を包み込むような
そんな日だった。






ちゅきちゅきち

キュキュ




突然の訪問に驚きながらも、彼の纏う神聖な雰囲気に引き付けられた動物達が鳴く。




その訪問者の目的は恐ろしいものだと知らないために……










「つい……た。」


まだ幼さの残る顔で泉を覗き込むのはイアだった。




そしてそっと泉へと手をいれる。





とろっとしたその感触が表す効果は様々なものだった。



永遠の若さ



どんな武器でも操ることが出来る力



不死



全ての身体能力のとてつもない向上






そして

















望むだけで




生きとし生きるものを殺傷する力………










その全ては泉の水を飲むことで手に入れることができる。




だからこそ長年にわたって守役が守り続けてきたのだが、いまその守役は心を許した
信頼のできる一人の少年に役を任せて出かけていた……





しかし少年は正しき者ではなかったのだ














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