悪魔の彼





「わからない。でも、君にならできるような気がする。不思議だけどね……」




ラギールは言った。



彼の声は温かくて、深くて、安心できて。


頭の中にホッとするような感覚が広がっていくのがわかった。



涙が流れそうになるような、そんな気持ち……





「ありが……とう、ございます。」




やっぱり、血は繋がっていなくても、兄弟なのだろう。私の記憶がなくてもだ。




「準備が整いました。ヨーギリアス様」




私達が一言交わしたその時、ヨーギリアスの家来が報告にきた。



「では行きましょうか」



相変わらずのふわっとした笑顔でヨーギリアスがいった。


そしてその言葉を合図にみんなが馬車に乗った。









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