悪魔の彼




その日

馬車に揺られて眠る中で、私は不思議な夢を見た。



いつもはイアの夢を見るのだが、今日だけは違った。







−−−−−−−−







いたのはどこか広い部屋。


見たことのない、でも懐かしい感じのする美しい女の人の膝の上に乗っているのは、小さい頃の私だ。





その女の人は私の頭を撫ででいる



すると男の子が入ってきた。








イアだった……







イアは私を連れて部屋を出た。



その時だった


イアの優しい暖かい表情が消えて、憎しみに歪んだ顔になっていった。





目からはパタパタと涙が地におちていく



急いで涙を拭って笑ったが、その笑顔は小さい私が見て分かるほど痛々しかった。









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