悪魔の彼





頭の隅で『結局イアの夢だ』と思いながら、イアに手を引かれるままに歩いて行く。




すると、ここにくる前に玄関でみた、通ってきた渦が見えた。



私が拒否をするように首を振ると、イアはそっと私の背中を押した。




「ごめん……」




確かにイアはそう言って、私を渦の中へと入れようとした。
















しかし、いつになっても目の前の渦は消えない。




イアはためらっているようだった。


そして私を引き止めてまたいった。


「ごめん…ごめんね」







そして私のてをひいて元の場所に戻ろうとした時だった。




「イア様、どういうことですか!」




怒りをあらわにしてやって来たのは、えんび服を着た老人だった。


その老人は私を抱え上げた。




「やめろ!セバスチャン!」



セバスチャンと呼ばれたその人は、私を渦へ投げ入れた。



「うわ!!!」



そして足を滑らせ一緒に渦に入ってきた。







その時ふと見えた顔は











大好きな

大好きな





おじいちゃんだった。












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