悪魔の彼




今の俺なら殺そうとすれば誰だって殺せる。



だが、セバスチャンとの約束を忘れてはいない。

だから





殺せない……








ガチャ



カラン








錠の落ちる音がして、扉が開いたが、動く気は起きなかった。




一気に沸き起こった怒りは、冷めるのも早く、体を動かすことさえ嫌だった。






「おい、立て」





「立てと言っているだろう。」










それから何回か話し掛けられたが、今の俺には単純な動作さえ面倒だったため、声を失ったように返事もしない。





諦めたのか、脇から知らぬまに男達がでてきて俺を立たせた。



手と足についた錠をジャラジャラといわせながら、引きずられるように歩く。




固い地面で足が擦れて少し痛い。












< 269 / 400 >

この作品をシェア

pagetop