悪魔の彼
今の俺なら殺そうとすれば誰だって殺せる。
だが、セバスチャンとの約束を忘れてはいない。
だから
殺せない……
ガチャ
カラン
錠の落ちる音がして、扉が開いたが、動く気は起きなかった。
一気に沸き起こった怒りは、冷めるのも早く、体を動かすことさえ嫌だった。
「おい、立て」
「立てと言っているだろう。」
それから何回か話し掛けられたが、今の俺には単純な動作さえ面倒だったため、声を失ったように返事もしない。
諦めたのか、脇から知らぬまに男達がでてきて俺を立たせた。
手と足についた錠をジャラジャラといわせながら、引きずられるように歩く。
固い地面で足が擦れて少し痛い。
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