悪魔の彼








−−−−−−−−−−−









暑い夏のことだった





日差しがじりじりと肌を焼くように照り、体からは玉のように汗を誰もが流す日。



私は天上から地を見下ろすように浮かんでいた。




少しの混乱状態に陥っているが、かろうじてここは記憶の中なのだとわかった。








下には二人で歩く母とまだ幼い子がいた。


しかし、二人は、およそ親子らしくなく横に並びながらも手も繋がず、黙って前を見据えて真っすぐと歩いていた。




不思議と暑いはずなのに汗をかかず、私もまたかいていない。









ただ黙って歩く親子の事が気になり、私は後を追った。





そんなときだった










ダダダダダッ













地響きとともにやって来たのは盗賊だったのだ













< 311 / 400 >

この作品をシェア

pagetop