悪魔の彼





ちょうどいいターゲットを見つけたというように、親子に向かって馬を走らせあっというまに周りを囲んでしまった。





「おい、持ち物をだしな。そうしなきゃ命はないぜ?」





頭だろうか?汚らしく髭をのばした男が言った。

彼の身なりは最低。



髭に加え、髪までぐちゃぐちゃのボサボサ。

脂ぎった顔に嫌らしい目が小さくのっていて、唇は異常なほど分厚く、鼻はひしゃげている。




はっきり言うと……



気持ち悪い。







部下達は自然に刀を抜き、ニヤニヤしながら身構える。



どうやらイークリンのようで背中に羽はない。




「おどきなさい。命が惜しくば去るのはあなた達のほうです。」



冷たく言い放つのは母親のほうだった。



そしてその言葉に合わせたようにして子供のほうは母親の背中にまわった。













< 312 / 400 >

この作品をシェア

pagetop