悪魔の彼
しかし、隠れたわけではなく背合わせにして母親の後ろの敵を鬼のような形相で睨んでいる。
そして私はきづいた………
あれは私だ。
敵を睨み付ける子供は私だったのだ。
「へっ、生意気な口聞きやがる。お前はいい女だからたっぷり楽しんでやるが………子供のほうは殺すか。うる−−」
ごとん
はっと男を見つめた時には男の首は落ちていた。
母親と幼き頃の私はいつの間にか体制が逆になっていて、私の手には血塗られた短剣が握られていた。
周りにいる盗賊達は呆気にとられて頭の落ちた頭部を見つめている。
「シルヴィア、また……あなたに人殺しはしてほしくないからもう少しお待ち。」
「でも母様、私を殺すって言ったんだもの。ふんっ、百年はやいわ!」
まあまあと母が宥め、小さく微笑む。
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