悪魔の彼




まだ幼さの残るそのかおは、確かに魔界王のものだった。




「おうおう……こりゃ驚きだ。魔界王様のお出ましとはなぁ。」




さっきやられた男の次に偉かったのか、さっきから同じ男がわあわあと騒いでいたが、今回も同じ男だった。





盗賊達は突然の魔界王の登場に少なからず驚いているようで、みな腰が引き気味になっている。





「私のことなどどうでもよいだろう!捕まる前に去るんだな。さもなくば……殺してでも確保するぞっ!」







するとその声と同時に脇にいて、長いターバンのようなもので顔を隠した二人が弓を構えた。




飛び道具を持つ相手ではぶが悪いと思ったのか、盗賊達はじりじりと後ろに下がり、しまいには馬に乗ってしまった。








「くそっ!」






さっきの男がそう呟き身を翻した。




すると、それに応じるように他のものも馬を走らせて行ってしまった。









そこには幽霊化した私、過去の私と母


王と連れの者そして…


















頭の遺体が残った……










< 316 / 400 >

この作品をシェア

pagetop