悪魔の彼
まだ幼さの残るそのかおは、確かに魔界王のものだった。
「おうおう……こりゃ驚きだ。魔界王様のお出ましとはなぁ。」
さっきやられた男の次に偉かったのか、さっきから同じ男がわあわあと騒いでいたが、今回も同じ男だった。
盗賊達は突然の魔界王の登場に少なからず驚いているようで、みな腰が引き気味になっている。
「私のことなどどうでもよいだろう!捕まる前に去るんだな。さもなくば……殺してでも確保するぞっ!」
するとその声と同時に脇にいて、長いターバンのようなもので顔を隠した二人が弓を構えた。
飛び道具を持つ相手ではぶが悪いと思ったのか、盗賊達はじりじりと後ろに下がり、しまいには馬に乗ってしまった。
「くそっ!」
さっきの男がそう呟き身を翻した。
すると、それに応じるように他のものも馬を走らせて行ってしまった。
そこには幽霊化した私、過去の私と母
王と連れの者そして…
頭の遺体が残った……
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