悪魔の彼




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「やーーーーっっっ!!」









落ちる、渦の中に落ちてしまう




絶叫しながら飛び起きたところは、突き落とされた渦ではなかった。







「どうされましたか!」





横から驚き顔の男の人が急いでやってきた。





「……えっ…あれ?」





今の今まで記憶の断片の中にいた私には何がなんだかさっぱりわからなかった。




「ア、アル?ここは?」





先程やって来たのはどうやらアルのようだ。


そのため私は彼に問い掛けた。





周りは染み一つない純白のベッドとシーツがあり、この様子から見るとずいぶんと清潔な部屋のようだ。






「シルヴィア様、ここは医務室です。」




「私はどうしてここに?」




「えっ、覚えていらっしゃらないのですか?!」




アルはまさかと言うように目を丸くした。


意識が途切れた途端に記憶の中に引きずり込まれた私には、何かあったのか思い出せなかった。









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