悪魔の彼
そうだ
ニアは知っているが、アイリウスにはまだ二人は何も話していないのだ。
「大丈夫。安心して。義兄弟なら恋愛は許されているから」
イアは私にだけ聞こえるように小さく言った。
でも、そんなことではないのだ。
「イア、そんなことじゃないよ。」
彼に話して、はたして認めてくれるんだろうか?
そんな不安そうな私の表情に気付いたのか、イアはそっと私の手を引き、ラギールとフランテに言った。
「じゃあ、俺達は父上に話さなきゃなことあるから。」
「ああ。」
ラギールがそう言葉を返すとイアは私を少し強引に扉の外に手を引っ張っていった。
「イア、どこ行くの?」
「……」
「イアってば!」
「……」
イアはアイリウスの部屋とは違う方向に私を連れていく。
トン
バンッ
「いったぁ……」
早歩きを続け、突然止まったところは人気の少ない廊下だった。
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