悪魔の彼
誰かがひたいに手をあてている。
つめたくて華奢で
記憶にある手。
少しするとその手は離れていった。
「ん〜」
目を開けるとそこはベッドの上だった。
開け放たれた窓からは花のやわらかな匂いが入ってくる
「……ここどこだろう。」
確か私は草原で倒れたはず
あの、ティープの言葉をきいて
あの、言葉を……
悔やんでも悔やみきれない。なんで聞いてしまったんだろう。
好奇心にかられて聞き耳なんてたてるんじゃなかった。
傷つくは私だったんだから……。
タタタッ
誰かが駆ける音が聞こえてくる。
バタン
扉が開き顔を見せたのはイアだった。
「ユイ」
イアはそういって隣にきて私の手を握った。
「よかった〜……。もう起きないんじゃないかと思った。」
今さらそんなことを言われても心には響かなかった。
様子の変わってしまった私には気付かずイアは話しを続けた。
「ユイは人間界からの大切なお客様だ。傷ついてはいけないからね。」
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