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11回目の告別式
「南無阿弥陀仏…」
催眠術の如く眠気を誘ってくるお経を聞き流す。
お経というものは、長いものもあれば、短いものもある。
今回の葬式では長い方に当たった。最近は、この正座にも慣れて、足がしびれることもなくなった。
私、躑躅森穂乃香。お父さんが岩手で会社を経営してて、少しは裕福な家庭に生まれた。
そのお父さんの家系は人脈が広い。この葬式もお父さんの近親者だ。
最近、よく葬式に行く。一か月に2~3回のペース。異常だとは思うけど、本当に人脈が広いから、それくらいあたりまえかと、私は割り切っている。
最近は、夢に出てくることもなくなったが、最初の頃は、夜になると、逝去した人の顔が頭の中に浮かんできて、魘されることが多かった。
今はなんともなくなった。