relations

墓は、少しおおきいくらいのやつだった。
鍵式のお墓で、南京錠の鍵を開けているところだった。


「南京錠…この方は、先日の葬式と同じタイプですね」

「社長の代わりに来てるの?」

「ええ、父の部下に頼むこともできるのですが…父は『親族が行かなければ意味がない』とか言ってて」


及川さんは、笑った。周りの人の視線が突き刺さる、にも関わらず及川さんは続ける。


「ははは、堅い人だね。お母さんは…ああそうか」


及川さんが、渋い顔をした。このままでは気まずくなる。私は必死に取り繕った。


「まだ、入院しています。昏睡状態になってから…ああ、明日で丁度1年です…」


取り繕うはずだったのに、さらに気まずくなってしまった。


「弟さんは、まだ小学生?」

「はい、小学六年生です。全く私とは喋ってくれないんです。反抗期ではないんですけど…もともと口下手なもので…」

「そうか…」


なんとか、普通の雰囲気に切り替えられた。お坊さんがお経を読み始め、会話が中断された。


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