relations

ここでは、関係者の数人がお焼香を上げるのみだった。骨壺を墓の中に埋葬し、南京錠を閉めた。


及川さんと一緒に合掌する。あっという間に終わり、バスで会場に戻る。


「死は人生の終末ではない 生涯の完成である」と言ってた人がいた。


たしかにそうかもしれない。でも「死」というのはやっぱり終わりだ。一度死ぬと生き返る可能性はほとんどない。というか、ない。


臨終の前に、一時的に蘇生し、元気に会話できる状態まで戻ることがあるという。そのあと突然死ぬのだそうだ。


結局は人間死ぬ。うちのお母さんもきっと…


「…頑張ってね、穂乃果さん」

「はい…さよなら」

「じゃあ」


及川さんは、手をひらひらさせ、そのまま会場の奥へと消えていった。
私は会場を後にした。




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