relations
横手川病院の449号室。
そこに私のお母さんは入院している。
あれから、もう一年か…
一年前、お母さんは、私と帰っているとき、何者かに襲われ、刺された。
すぐ他の人が来てくれて、私は無傷だったけど、お母さんがその影響で昏睡状態になった。
今でも、アスファルトにゆっくりと滴り落ちるお母さんの血の夢を見ることがある。
犯人は快楽犯で既に3名も人を殺めていたらしい。その場で取り押さえられ、既に死刑の判決が下っている。
「大丈夫かね、お嬢さん」
「えっ…はい、大丈夫です。ありがとうございます」
「お嬢さん、名前は?」
「躑躅森穂乃果です。ここに入院している躑躅森弥生の、娘です」
「ああ、あの方か。大変そうじゃのう…」
このおじいさんは、お母さんを知っているらしかった。
「ええ、今日で丁度一年です」
「そうか…わしは、弥勒地伸也じや、ここにきて…もう何年かの…」
「弥勒地さんですか…なんの病気なんですか?」
「いろいろじゃのう…もうすぐ退院できるんじゃよ」
「よかったですね…」
「お嬢さんのお母さんも、早く退院できるといいの」
「ええ」
病院のロビーで、おじいさんは、優しく語りかけてくれた。私は、心が安らいだ。少しでも、心の負担を和らげたかった。