relations
「遅いよ」
「……………早く、成仏しないの?及川さん」
そこに居たのは、前と同じ格好の及川さん。さっき葬式行ってきたはずなんだけど…礼堂君と同じか。
「いや、社長夫人が亡くなったんだから、こうしてこないといけないだろう?」
「…死んでるんですから、いいでしょう」
「いや、どうせ喪服だしね…これもいいかなと……ビール飲みたいなあ…」
…最後の台詞でぶち壊した。やっぱりこの人駄目な人だ。
「ほら…お焼香」
「あ、はい」
幽霊?の及川さんは、お焼香は出来ないらしく、私と一緒に手を合わせただけだった。
「阿謨伽尾盧左曩 摩訶母捺囉摩抳 鉢納摩 人嚩攞 鉢囉韈哆野吽…」
私たちはひたすら光明真言を繰り返し唱える。お焼香が皆終わるまで、これを唱え続ける。しんどい。
「…簡単にコロッと人は死んじゃうんだよなあ」
及川さんが、お経を唱えるのを辞め、そんなことを呟いた。その言葉は私の心に深く響き渡った。