relations

「まあ、喪服で死んだから丁度いい機会。さて…そろそろかね」

「…49日までじゃないんですか?」

「う~ん、めんどくさいからなぁ…早めに行こうかな、と」

「…そう、ですか。…生前にお会いしたかったです」

「そういってもらえて光栄だよ。じゃあ」


少し目を離したすきに、及川さんは居なくなっていた。及川さんがいた場所には、タバコと時計が落ちていた。


「…これ…ぽーるもーる?と読むのかな?…中身は…空。こっちの時計は…おめがすぴーどすたーぷろふぇっしょなる?よくわからないけど…時計と、タバコ、及川さんらしいなぁ」


煙草は中身が空なのを確認して、私は空箱と時計を拾い上げた。未成年だから煙草の空箱を持っていたら怪しまかれるかもしれないけど、家に持って帰ることにした。


煙草と時計を最後に残す幽霊…そんなの及川さんだけだろうな…なんかダメ人間っぽい。


おかしくなって、少し声が出て笑った。周りもお構いなく。そそくさと、私は退散した。

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