relations
懐かしい香りで目が覚めた。
どこかで嗅いだことのある香り。
私の身体は揺れている。おそらく…車の中?
いや…車ってこんなに揺れたかな?もっと…揺れそうなもの。
視界が鮮明になる。見ると揺れる天井。いや、私が運ばれている?
病院沙汰になってるの?私、そこまでヤバいのかな?
しかし、それも違う。今、視界に飛び込んできた顔。
京一の顔。ということは…
「…え、うそ…」
京一が運んでる?しかもこの体勢…もしかして…
「…目、覚めた?」
「降ろしてっ!変な目で見られる…あれ?」
「今は、もう五時間目だよ。授業始まってる」
「あ、そう…ありがとう…?」
そこで、はたと考える。何故に京一が?
「なんで、私のとこにいんの?」
「いや…廊下で倒れてたから」
「いつ?」
「…保健室で休んでて、トイレ行こうとしたんだよ。そしたら、さ」
あの時、周りにはたくさんの人がいた。うん、わかってたけど、やっぱり辛い。
「ありがとね」
「…ごめんな。千鶴の気持ちわかっててやれなくて…」
「あわわわわ、それやっぱなし!なし、なしっ!」
「本当に?」
「うぅぅ…なしじゃ………ないです」
京一には昔から勝てない。勝とうとも思っていないのが本音だけど…