relations

「涼風さんは、どの登場人物が印象的?」

「印象的?ですか…それはやっぱりヒースクリフです」

「もし、あんな人間が実際に現実に居たら…どう思う?」


そんな質問が飛んでくるとは思わなかった。少し考える。けれど、まったく答えが見えない。そもそも…ヒースクリフが現実に居たらなんて思いもしない…だって、そんな人間…

「………………」


…まさかね。

少し頭の片隅によぎった答えを自分で消した時、蒼太君が口を開いた。


「…ある少年が、両親にこういわれていました『地下室の扉は、絶対に開けてはいけないよ』と。しかし、少年は両親が外出している際に、その扉を開けてしまった。その少年の目には衝撃の光景が飛び込んできた。…なんだと思う?」

先ほど頭に浮かんだ答えが、現実味を帯びてくる。

「…やめて、ください…」

「答えがわかったようだね…その、答え行ってごらん」

「…いや、そんなこと…やめてっ」

答えは一つしかないのに…それを認めてしまったら…

私は答えをデリートしようとする。でも…消せない。
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