relations
インドアな私がそこまで速く走れるわけがなかった。
後ろから蒼太君の呼ぶ声が聞こえる。それを振り払い走る。
階段を勢いよく駆け下りていたときだった。
「あっ…」
足がもつれた。体勢を崩して前から落ちる。このままだと頭から地面に落ちる…即死一直線だ。
地球の引力に従って、私の体は徐々に地に向かって降りていく。その光景が鮮明に目に焼き付く。おそらく、数秒のことなんだろうけど私は数分のように感じた。
そのまま…落ち…た?
「……っ…?」
痛くない。それに、今私の目の前にあるのは…階段?止まってる?
そこでようやく気付く。
私は引っ張られた、と。
「…死ぬ気?」
私の左手首をつかんでいるのは、蒼太君だった。
「…そんなこと…あるわけないじゃないですか……ぐすっ……うぅ…」
申し訳ない気持ちと、あとからやってきた恐怖に私は泣いてしまった。
蒼太君は黙って、泣き止むのを待ってくれた。