大切なもの



でも、あたしの目の前にあるのは。



広くて温かい、彼の背中。



話しかけたら振り向いてくれる。



手を伸ばしたら、届く距離。



“あたし”を知ってる人。



ザワザワとした駅の中で、イチゴの香りがついたリップを塗りたくった唇でそっと呟く。



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