Star Light



《屋上》


私はショックだった


もしかしたら歌えるんじゃないかっ
もう一度、大好きな歌を歌いたいって

思えたあの気持ちはなんだったんだろ...


伴奏がはじまって一声目...

声が出なかった

出そうとすればするほど出てこない



どうしても思い出してしまう辛い過去...

誰かに見て聴いてもらうんだって
思った瞬間、震えが止まらなくなってしまう


蘭花「もうなんでよ!」


悔しくて涙が出た


こんな自分が情けない...



郁斗「蘭花...」


はっとした、でも泣いてる顔を見せたくなくて
ふりかえって返事ができなかった


郁斗「ごめん!!...」

郁斗が頭を下げた


郁斗「俺、早とちりしてた
蘭花がここでひとりで歌ってたのを見て
もう 大丈夫だ って勝手に思って
蘭花なら歌えるって思ったんだ...
けど、それは俺の勝手な判断で逆に蘭花を
傷つけた...ほんとにごめん」


蘭花「郁斗は何も悪くないよ私がいけないの」


私は震えてる手を押さえて話した


蘭花「私もね、歌える気がしたんだ!
けどトラウマはトラウマだね、
消えてなかった... 謝るのはこっちだよ
私、郁斗にいつも助けてもらってばかりだし
今度は私が...って思ってた
けど、また余計に迷惑かけちゃったね
ごめんね」


郁斗「蘭花... 迷惑なんてされてないよ
実はさ、あの曲 蘭花に歌って欲しくて
描いたんだ!いつか歌ってくれる日が
来たらいいなって!」


また涙があふれた


郁斗「え 蘭花?泣いてるの?
ごめん、嫌だったよな... 俺また...」


蘭花「違うの!嬉しくて...」



夕日が二人を照らした


























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