私と王子の秘密の趣味
「…………綾音?」
「………何よ」
私は出流の顔を見ずに返事をする
「……怒ってんの?」
「……別に」
怒ってなんか…ない
私が恐怖で涙目になっていたら…
「………っ!?」
出流が私を優しく包み込んでくれる
顔を私の左肩に置き、出流の右腕が私の腰を。出流の左腕が私の頭の後ろにまわって、頭を撫でてくれる…
なんだろう…
別に大した事じゃないけど…
ただ、本棚と本に埋もれただけなのに…
怖かった…
脚立に足をとられて逃げ出せない恐怖…
倒れる時の浮遊感
本が目の前いっぱいを埋め尽くす感じ
全てが怖かった