極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~
7 揺れ動く気持ち
翌朝目を覚ますと隣で寝ていたはずの龍之介の姿はなく、寝室にまでバターの良い香りが漂ってきていた。
もう起きて、朝食作ってるんだ。
昨晩何も食べていない私の頭と身体はその香りに反応し、ベッドから飛び降りるとすぐに着替えを始めた。
病院での点滴と薬が効いたみたいで身体のダルさも消え、気分も良くなっていた。
本位ではないとはいえ二日間もお世話になってしまったし、これは仕事をバリバリ頑張って、恩返ししなくては。
……って、それは龍之介にとって何の得にもならないって、却下されたんだったっけ。
でもそれ以外に、思いつくこともないしなぁ。
どうしたもんかと考えながら服を着替え終わると、荷物をまとめリビングへ向かった。
「おはようございます」
キッチンでコーヒーを淹れていた龍之介にあいさつをすると、「おう、おはよう」と爽やかな笑顔を見せた。
ドキンッ!!
その笑顔に、小さく胸が跳ねる。
朝からその笑顔、反則!!
顔が赤くなるのを感じ慌てて顔をそらすと部屋の隅に荷物を置いてから、カウンターに足を向けた。
「堤所長、料理上手ですよね」
「あぁ、ひとり暮らし長いからな。って、なんで堤所長に戻ってんの?」
キッチンから私の顔を覗きこむとそう言い、ちょっと怒ったような顔を見せた。