極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~

一言も発せず、黙ったまま私を引っ張り歩き続ける拓海くん。


少し腕が痛いけれど、今はそんなことも言えるような雰囲気じゃない。


私も黙ったまま拓海くんのスピードに合わせて歩いていると、倉庫裏の自販機置き場に着いた。


何かを考えているのかしばらく拓海くんは振り向かず、沈黙の時間が続く。


いつもの拓海くんじゃない様子に私も口を開けないでいると、意を決したように頷いた拓海くんが真剣な眼差しでこっちを振り向く。その目に、緊張で身体が震えた。


「菜都さん、本当はもっと雰囲気がいい所で言いたかったんだけど……」


拓海くんの表情と言葉を聞いて、一瞬で何を言われるのかわかってしまう。


掴まれたままの腕から、身体中に熱が伝わり始めた。


「俺、菜都さんが好きだ。誰にも渡したくない。それがたとえ、堤所長でも」


えっ? 拓海くんが私のことを好き? 嘘でしょっ!! 今までそんな素振り……あったかもしれない。


どうしてもっと早く気づかなかったんだろう……。


何となく申し訳なくなってしまい、俯いてしまう。


それに、なんで龍之介が出てくるの?


あっそうか。龍之介がここに初めて来た時に、ビビビッて来ちゃったとかなんとか話ししたからね。


でも今の言い方、何かが違う? ライバル心、むき出しって感じだし。


何かあったんだろうか?
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