極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~
なんでここに龍之介が来るの? 今はひとりにしてほしいのに……。
「どうして堤所長が、こんな所にいらしゃるんですか?」
「なんだよ、その口の聞き方」
なんだよって……。それはこっちの台詞。なんで龍之介が怒った口調なのよ。
ここは会社で、龍之介と私は上司と部下。敬語を使うのは当たり前で、龍之介に怒られるようなことじゃないじゃないじゃない。
「あぁ~もうっ。堤所長と私がこんなところで仲良く話していたら、マズいって言ってるんです!!」
これじゃあ龍之介のところで二日間過ごしたことを、内緒にしている意味がないでしょ!!
けれど龍之介はムスッとした顔を変えないで、私のことをジッと見つめた。
「こんな時間にこんなとこ、誰もきやしない。そんなことより、さっき西野の連れられて出て行ったけど、何の話だったんだよ?」
はぁ!? いきなり何を言うかと思ったら、そのこと?
でもなんで龍之介が、そんなこと気にするの?
私が誰と何を話したって、龍之介には関係ないじゃない。
それこそ、拓海くんとのことを龍之介に話す理由はどこにもない。
どうしてそんなことを龍之介が気にするのか、さっぱりわからないよ。
「堤所長には関係ありません。仕事の途中に抜け出して、申し訳ありませんでした。事務所に戻ります」
サッと立ち上がり龍之介に一礼すると、事務所に向かって歩き出す。