極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~
仕事が山ほどあるというのは、時には役に立つこともあるんだと思った。
多くの伝票や書類を処理していれば、余分なことを考える暇さえない。
食欲もなかった私は大好きな仕出し屋さんのお弁当も食べずに、黙々とデスクにかじりついて仕事をした。
その気迫に隣にいる未歩ちゃんも、怪訝な顔をしている。
「先輩? 何か少しでも食べたほうがいいですよ。あっ、未歩が何か買ってきましょうか?」
あの未歩ちゃんが普通に喋っている。と言うことは、私のことを気にしてる証拠。
はぁ~。何やってんだろう、私。
キーボードを打つ手を止め、未歩ちゃんの方を向いた。
「菜都先輩、ヒドい顔ですよぉ~」
「放っとけっ!!」
キャハキャハ笑う未歩ちゃんを見ていたら、少しだけ気分が和らいだ。
「未歩じゃ頼りにならないと思いますけど、何でも話してくださいね」
「うん、頼りにならないから話さない」
「もうっ!! せっかく未歩が心配してあげてるのに、菜都先輩の意地悪!!」
未歩ちゃんがそう言って怒る姿が面白くて、やっと自分の顔から笑みが溢れるのを感じた。
仕事に没頭しているふりをして、実はずっと拓海くんからの告白のことを考えていた。
そして、龍之介のことも……。
でもここでどれだけ考えたって、答えが出るわけじゃないよね。
そのことの気づくと、途端にお腹が空いてきた。
「未歩ちゃん、まだお弁当ってあるよね?」
「はい、小会議室に」
「ちょっと休憩してくるね」
未歩ちゃんにそう告げ立ち上がると、龍之介を横目に小会議室に向かった。