極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~

弁当を食べてからはお腹も心を満たされて、午前中よりも仕事がはかどった。


定時の五時丁度に本社との電話でのやり取りを終えると、デスクの上の種類をとんとんと整えファイルにしまった。


今日の私はよく働いた。……って、お給料もらっているんだから当たり前なんだけど。


龍之介がここに赴任してきてからの私は、集中力が掛けてしまってダメダメだ。


こんなんじゃ二週間後に迫ってきている社員旅行で、本社に移動になった松浦所長に合わせる顔がない。


「恋にうつつを抜かしてる場合じゃないよね」


そうは言ってみたものの、同じ事務所内には龍之介がいるし、拓海くんには告白されちゃうし……。


それにこの後は、龍之介に拓海くんとのことを話さないといけないわけで。


でもやっぱり納得いかない。どうして拓海くんとのことを、龍之介に話さなくちゃいけないんだろう。


上司としての権限? それとも……。


デスクを片付けながら溜息をつくと、事務所の入り口が開く音がした。その音に振り返ると、拓海くんが立っている。


「菜都さん、今日一緒に帰らない? ふたりで帰ろ」

「えっ?」


今までにも一緒に帰ったことはあったけど、こんなふうにひとり誘われたことはない。いつも未歩ちゃんか配送の人も一緒だったのに。


どうしちゃっていいて言うの?


でも今は私のことを見ていない。挑戦的な目をして、龍之介のことをジッと見ていた。
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