極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~

そんなことを考える私も、案外勝手かもしれない。


龍之介は私のことなんて好きじゃない。


きっと、新しい“玩具(おもちゃ)”を手に入れたぐらいにしか思ってないんだろう。


従順な部下───という、一番使い勝手のいい“玩具”。


だからその“玩具”が何をしているか、自分勝手なことをしていないか、全部を把握しておきたいだけなんだ、きっと……。


でもさっきの冷たい目は、もう勝手にしろってことだよね。


龍之介にとって私はもう、“玩具”の価値もなくなってしまったのかな……。


俯き目を瞑ると、私の肩に優しく手が置かれた。


「菜都さん、一緒に帰ろう?」


もう一度そう優しく言われ、私はただ黙って頷いた。





「ごめんね。自転車運んでもらっちゃって」

「菜都さん、何回謝ってんの? もういいって。それに、今日俺が運ばなかったら自転車どうするつもりだったの?」

「あそこに置いたまま、新車買おうと思ってた」

「えっ、そうなの? じゃあ俺、悪いことした?」

「ううん、助かった。修理すれば、また乗れるしね。でもわざわざ運んでもらっちゃって、何かお礼しないとね」


高校生になった時に買ってもらって、もう10年も私の足として活躍してくれた自転車だもん。乗れなくなるその日まで一緒に、だよね。






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