極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~

「何、襲ってもいいの?」


真面目な顔してバカなこと言って……。


その顔をキッと睨みつけると、罰が悪そうに笑う拓海くん。


な、なんか、いつにも増して可愛いじゃない。


でもダメなんだからね、そんな顔したって……。


フンッとそっぽを向き外を見ると、車はこの辺りで一番大きいスーパーの駐車場に入っていった。


「菜都さん、俺パスタが食べたいんだけど、作ってくれる?」


「パスタならOK、作れるよ。じゃあ今晩は、パスタとサラダにしようか」


私の言葉にタクミくんの顔が、花が咲いたような笑顔になる。


全く……。拓海くんには敵わない。そんな素直に自分の気持を表現されたら、こっちのほうが戸惑ってしまう。


“俺、菜都さんが好きだ” 


忘れていたその言葉が、また私の心に舞い戻ってきてしまった。




拓海くんからのリクエストで、今晩はカルボナーラを作ることになった。


冷蔵庫には玉子だけあることを拓海くんから確認すると、スパゲティにブロックベーコン、生クリームにパルメザンチーズ。それにサラダの材料をカゴに入れ、レジに並んだ。


「俺達、新婚さんとかに見えるのかな?」


拓海くんが耳元で呟く。


「見えない。いいとこ、姉弟ってとこでしょ」


そう言い返すと、拓海くんはつまらなさそうに唇を尖らせる。


彼を弄って遊ぶのは楽しいが、今は心から楽しめてない。


< 145 / 278 >

この作品をシェア

pagetop