極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~
拓海くんは、私が龍之介のことを好きなのを知っている。
なのに今朝になって、私のことが好きだなんて……。
それに、龍之介に対するライバル心たるもの凄まじい過ぎる。
急にどうしたっていうんだろう。
「何かあったとか?」
「え? 菜都さん、どうかした?」
あっ、しまったっ!! ここ、拓海くんの車の中だった。思わず心の中の声が、出ちゃったよ。
平常心を装って「なんでもない」と誤魔化したけれど、何かに気づいているのか腑に落ちない顔をした拓海くんがボソッと口を開いた。
「堤所長のこと、考えてたでしょ?」
「えっ? そ、そんなこと……」
「ない?」
無いわけ無い。私の動きは挙動不審だし、動揺丸見え。でもズバリと言われてしまうと、普通にしているのは難しくて……。
黙ったまま俯いていると、フッと拓海くんが苦笑する声が聞こえた。
「まっいいや。今すぐ俺を、俺だけを見てなんて言うつもりないし」
「拓海くん、そのことだけど……」
「ゴメン、菜都さん。今は何も言わないで。俺にもチャンスくれないかな?」
私の言葉を途中で切って、ペコリと頭を下げる拓海くん。その姿に、何も言えなくなってしまう