極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~
「菜都さん、そんな顔しないでよ。俺は菜都さんの笑顔が大好きなんだから」
でもそんな顔をさせたのは俺なんだよね……と悲しそうな顔をする拓海くんを見て、ギュッと胸が痛む。
私が好きなのは龍之介で、拓海くんになんと言われようと、ここでちゃんと断るほうがいいんだろう。
相手に気を持たせるのは良くないとわかっているのに、“ごめん”と、そのひと言が言えないでいた。
私のズルい心───…
寂しい気持ちを、拓海くんで埋めようとしてる自分に嫌気が差す。
でも目を閉じると頭の中に浮かぶ龍之介の冷たい目が忘れられなくて、ひとりではいたくなくなってしまった。
拓海くんの言葉に、甘えてしまっている自分……。
ごめん、拓海くん。
心の中で謝ったって、意味ないんだけどね。
自分の甘い考えに苦笑すると、拓海くんが私の頭を小突いた。
「ひとりで笑って気持ち悪いよ、菜都さん」
「気持ち悪いは余分でしょっ」
彼はきっと、私の心の中に気づいてる。それでいて、いつもの様に接してくれてるんだ。
「でも、ありがとね」
笑顔を見せて拓海くんに向き直ると、彼も嬉しそうに笑った。