極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~
「拓海くん。よくこの部屋で、私を誘う気になったよね……」
拓海くんの住むアパートの玄関で、立ち尽くす私。
私が大学生時代に付き合っていた彼氏は実家住まいで、若い男の子の部屋に入るのは初めてと言っていいくらいだけど。
20代前半のひとり暮らしの男の子の部屋は、みんなこんなものなのかしら?
いやいや、この部屋は明らかに酷いでしょっ!!
足元の靴の数は、『何人家族ですか?』と聞きたくなるくらい乱雑に散らかっているし、その中にはもう何年も履いてないとおもわれるくらいくたびれたものもある。
溜息をつきながら足元から顔を上げ部屋の方へと移動させると、そこにはまたなんとも言葉には言い表せないような惨状が広がっていた。
「今日はキレイな方なんだけどなぁ」
「……これで……」
ふと、龍之介の部屋を思い出す。
ゴミ一つなく、埃もない綺麗な部屋。
あれはもう、龍之介が三十を越えた大人だったから綺麗だったの?
それとも彼が綺麗好きで、こまめに掃除をしてる?
いや違う。きっといつも綺麗にしてる女性がいたんだ。ううん、今もきっといるんだ。じゃなきゃ、あんなに綺麗な部屋を保ってなんかいられない。