極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~
今日は誰にも会わず難なく部屋の前までたどり着くと、鍵を開ける。
でもすぐにはドアは開かない。
「ちょっとここで待ってて下さいね」
「なんで?」
「お、女の事情ってやつです」
「そんなの俺は気にしないから、早く開けろよ」
そう言って勝手に開けようとする手を、バシッと叩く。
「イッテ~なぁ」
「とにかく私は気にするんですっ」
龍之介を玄関前に立たせたまま、部屋の中に入る。
エレベーターで上がってくる時に思い出した。
「これこれ」
下着が部屋の中に干しっぱなしだったことを。
明日から社員旅行のために最近忙しくて、いつもより部屋が散らかっていたことを……。
でもさすがに、掃除機をかける時間はないよね。
下着をピンチに付いたまま押入れに仕舞いこむと掃除機かけは諦めて、玄関に急ぐ。
「お待たせしました~」
ドアを開けると、不機嫌そうな顔をした龍之介の顔が見えた。
「遅いっ!! 俺を待たせるなんて、いい根性してるよな」
私を押しのけるようにして部屋の中に入ると、ボストンバッグをドカッと置いた。
玄関の鍵を掛け、龍之介のもとへと急ぐ。
「すみませんでした!!」
なんで私が謝らないといけないんだ? 頭を下げながら腑に落ちない気持ちでいると、グッと腕を引き寄せられた。