極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~
サービスエリアでの休憩を終え一箇所目の観光地に向かうバスの中、やっぱり私は先頭の席でひとり座っていた。
ホントなんなの、さっきの龍之介の態度。普通はまず、婚約者だと言われていた清香さんの話をするもんじゃない?
ちゃんと龍之介の口から「違う」と言ってくれれば、私だっていつまでも龍之介に対して不信感を抱かなくても済むのに……。
『信用してないとか言うんじゃないよな?』
こんな時でも上から目線。龍之介らしいといえば、龍之介らしいんだけど。
そして相変わらず聞こえてくる、後部座席の騒がしい声。
「うるさい……」
その中から聞こえてくる龍之介と清香さんの声を聞きたくなくて、耳を塞ぎがちに目を閉じた。
「あれ? 菜都さん、寝てるの?」
ゆっくり目を開けると、心配そうに私の顔を覗き込む拓海くんの顔。
その顔に笑顔を返す。
「菜都さん、無理してるでしょ?」
作り笑顔だということを、簡単に見破られてしまった。
「バレた?」
「当たり前。いつも菜都さんのこと、見てるからね」
いつもって……。それはそれで恥ずかしい。
顔を見られたくなくて俯くと、拓海くんは私の隣の席に腰を下ろした。