極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~
にしても拓海くんって、私のことが好きなんだよね?
私がこんなことを考えるのはおかしいのかもしれないけれど、私のことを好きな拓海くんが、私と龍之介のことを心配するなんて……。
「拓海くんって人がいいっていうか、お人好しというか。優しいよね。ありがと」
私の右手に重なり合っている拓海くんの手に、左手を重ねる。
「菜都さん……」
嬉しそうに、顔を少しだけ赤くする拓海くん。
「勘違いしないでね。これは“ありがとう”の気持ち」
「チェッ!! 照れて損したっ」
損したって……。それも舌打ちつき。
でも、ふくれっ面する拓海くんを見ていると、意外と気分が軽くなっている自分に気づく。
やっぱり拓海くんとは、こんなやりとりが楽しい。
なんて、拓海くんには申し訳ないけれど。
龍之介と清香さんのことは、『俺のこと、信用してないの?』と言われても、正直まだ気になる。ちゃんと龍之介の口から、話を聞きたい。
あっちから言ってくれるのを待ってるだけじゃダメなのかな。旅館に着いたら、タイミングを見計らって龍之介に聞いてみよう。
そう決めると少し心が軽くなって、旅行を楽しめそうな、そんな気がしてきた。