極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~


「うわぁ、スゴい!!」


日本随一の奇勝として有名な、海沿いの断崖絶壁の上にひとり立つ。


水面からの高さはビル8~9階に相当するらしく、そこから見下ろす景色はまさに絶景だ。


「菜都せんぱ~い!! そんなところに立ったら、落っこちちゃいますよぉ~」


未歩ちゃんが離れたところから、心配そうに私を見ていた。


「未歩ちゃんもおいでよ。気持ちがいい……キャーッ!!」


誰かが私を押して、バランスを崩す。


危ないっ!! ギュッと目を瞑ると、その身体を後ろから抱きかかえられた。


「菜都さんの、ビビリ~」

「もうっ拓海くんっ!! ホントに落ちたら、洒落にならないでしょっ!!」

「大丈夫。俺が、大切な菜都さんを、落とすはずないでしょ?」


押した張本人が、そういうこと言う? それもこんなところで、何恥ずかしいことをサラッと言っちゃってるの……。


今もまだ私の身体を抱え、ご満悦の様子の拓海くん。


さすが、私のことを“諦めない”と豪語しただけのことはあって、龍之介がこっちを見てようとお構いなしだ。


私はと言えば、心穏やかではない。


本社の営業の人たちと一緒にいる龍之介と時々目は合うけれど、その隣には必ず清香さんの姿があって……。


美男美女の素敵なカップル。きっと誰が見ても、お似合いの恋人同士だ。





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