極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~
「俺たち、どんな風に見えるんだろう?」
拓海くんがまるで私の心を見透かしたように、耳元で呟いた。
手元を見ればいつの間にか手を握られていて、どう足掻いても離してくれない。
挙句の果てには会社の人達に、「俺たち仲良しでしょ」と言う始末。
「さ、さぁ。どうなんだろう」
「恋人同士に見えると嬉しいんだけどなぁ」
そう言って無邪気に笑う姿を見て、チクンと胸が痛んだ。
だって私は、拓海くんの気持ちに応えることはできない。
清香さんが現れて今はちょっと微妙な状態だけど、やっぱり私は龍之介のことが大好きで。
昨晩のことを思い出せば、身体は熱くなるばかりで……。
自分の気持ちはすぐに変えられる、そんな生半可なものじゃない。
「菜都せんぱ~い、遊覧船乗りますよぉ~」
未歩ちゃんの呼ぶ声に、握られていた手が緩む。その隙に手を離すと、拓海くんから距離をとった。
「た、拓海くん。未歩ちゃんが呼んでるから、先行くね」
「菜都さん……」
拓海くんの寂しそうな声が耳に痛い。
その顔を見ることができずに軽く手だけを振ると、未歩ちゃんに向かって走りだした。