極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~

今晩泊まる旅館に到着すると、営業主任から部屋の鍵を渡される。うちの営業所の女性は私と未歩ちゃんだけ。もちろん同室だ。


「ふたりで一部屋なんて、いいよなぁ~。遊びに行ってもいい?」

「ブブ~!! ダメですよぉ~。どうせ、菜都先輩目当てですよねぇ~」


このふたり、なんて話をしてるの……と横目で見ながら通り過ぎると、龍之介と清香さんの姿が目に入る。


目をそらすタイミングを失い、清香さんと目が合ってしまった。


「菜都さんだったわよね? もう体調の方は大丈夫?」


男性なら誰もが虜になってしまうような笑顔を見せて、私に近づいてくる。その後ろには、龍之介がついてきていて。


なんでいつも、ふたり一緒なのよっ。


気に入らない───


「はい、大丈夫です。船では面倒をお掛けして、すみませんでした」


龍之介の前で下げたくもない頭を下げると、清香さんが私の両肩をふわっと掴んだ。


「いやだ菜都さん、顔を上げて。私は当たり前のことをしただけ。何も謝ってもらうことなんてないわ。ねぇ、龍之介さん」


ねぇ、龍之介さん……かぁ。


参ったなぁ。龍之介がどういう風に思っているのかわからないけれど、清香さんはもう龍之介の奥さんみたいじゃない。


「つかぬ事をお聞きしますが、お二人は結婚されるんですか?」


私の言葉に、龍之介の顔色が一瞬にして変わる。


そんな怒った顔しても、怖くないんだからっ!!


龍之介のことを睨みつけていると、清香さんのフッと笑う声が聞こえた。





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