極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~
営業部長の「乾杯っ」の言葉とともに、一気にビールを飲み干す。
「プハー、美味いっ!!」
オッサンさながらにそう叫ぶと、会場内に笑いが起きた。
龍之介もこっちを見ている。
今更見たって、遅いんだからっ。
フンッと顔を背け空になったコップを見つめていると、隣の席に座っていた配送主任の宮村さんが、ビールをなみなみ注いでくれた。
「なっちゃん、いい飲みっぷりだな」
「飲まなきゃ、やってられないんです!!」
注いでもらったばかりのビールをこれまた一気飲みすると、今度は会場のあちらこちらから「あいつ、もう酔ってんじゃない?」と苦笑交じりの言葉が聞こえてくる。
今日は何杯飲んだって、酔えそうにない。
広いとはいえ、龍之介と同じ部屋にいるというのに、何の心も感じられない。
楽しいお酒だったら、気持ちよく酔えたのに……。
「菜都先輩。ビールもいいですけど、このお刺身美味しそうですよぉ」
未歩ちゃんは、私の様子がおかしいことに気づいたんだろう。私に左手に握られているコップを、サッと取り上げられてしまう。
その行為になんとなく文句も言い難く、渋々目の前の大きな舟盛りに手を伸ばした。